特別展「三国志」を観ました (その5 / 総評・余談)

この記事では、2019年10月1日(火)~2020年1月5日(日)に九州国立博物館で開催されている、特別展「三国志」の総評などについて記しています。

なお、記事中に展示品の写真が多数ありますが、特別展「三国志展」は全展示の撮影及び個人利用が許可されていることを書き添えておきます。自宅でも展示品を細部まで観賞できるため、嬉しい計らいでした。

特別展「三国志」の総評

「三国志展」の難しさ

複数回にわたり、特別展「三国志」について記してきましたが、記事中でご紹介できた展示品はごく一部です。実際、音声ガイドを聞きながらひとつひとつ眺めていては、とても集中力を保てないほど多数の品々が展示されていました。

そのような展示品を観賞し、第一に受けた印象は「やはり三国志は『語り多く物少なし』なのだな」というもの。

儀杖俑 / 涼州軍閥の有力者の墓から出土したもの

これまで記したように、特別展「三国志」では、英雄達が実際に手を触れたかもしれない文物として、曹休の印綬・曹操高陵の副葬品・呉の朱然の墓からの出土品等が展示されていました。

しかし、英雄達に直接的にゆかりのある展示品はこれらぐらい。膨大な展示品のうちでは少数と言ってよいでしょう。

虎形棺座 / 呉の貴族の墓で棺を支えた台座

三国志の展覧会と聞けば、たとえば日本の戦国時代をテーマとする展覧会のように、英雄自身が所用した甲冑・刀剣や、自筆の手紙などが展示されていることを期待しがち。

しかし、三国志は今より1800年も遡る時代のこと、当時の文物の多くは遺失していますから、展覧会を催すに足る文物を集めるのも難儀したのだろうなあ…という印象を受けました。

軍船模型 / 魏と呉の合戦ではこのような大型船が用いられたと推察される

百聞は一見に如かず

しかしながら、展示品のほとんどは後漢時代・三国時代・西晋時代の遺物であり、英雄達が生きた時代に存在した文物であることは紛うかたなき事実。

直接的にゆかりがある品物でなくとも、展示されている武器を見れば「こんな剣や弩を使って戦ったのか!」と思い、酒盃を見れば「こんな酒器で宴に興じたのだな!」と想像をかき立てられます。

矛・戟・剣 / いずれも後漢時代のもの

また、展示品を集めるのに難儀したと推察されると前述しましたが、断じてクオリティが低いわけではなく、中国国外で初公開となる曹操高陵の副葬品や、名品「金製獣紋帯金具」等、多数の一級文物(中国における国宝みたいなもの?)も見られ、かなり力が入っています。

前述のとおり「語り多く物少なし」である三国志というテーマにおいて、充実した展覧会を完成させた、主催者の方々の熱意には頭が下がります。

石球・撞車頭 / 石球は投石機で発射したものとも考えられる

日本人の三国志ファンの多くは、小説・漫画・映画等により形作られた三国志観を抱いていると思いますが、特別展「三国志」を観たことでそのようなイメージを打ち砕かれた方も多いでしょう。

まさに「百聞は一見に如かず」、特別展『三国志』は「来訪者を遠い三国時代に誘うとともに、三国志の物語をより深く理解させてくれる展覧会であったな」というのが総括的な印象です。

「晋平呉天下泰平」磚 / 280年に晋が呉を滅ぼして三国時代は終焉を迎えた

余談 / 旅行中に食べたもの

今回の旅行は特別展「三国志」を観に行くという趣旨であり、それ以外の活動はほとんどしていません。ただし、食事ぐらいは各地のうまいものを食おうということで、以下のとおり堪能いたしました。

「関あじ関さば館」で鶏天定食&りうきう丼

大分市にある「関あじ関さば館( 大分県大分市大字白木949 )」での昼食では、まず、前菜として鶏天定食を平らげました。

衣がカラリと香ばしく、鶏肉はふっくらと優しい歯ざわり。揚げ物ではありますが、なかなか軽い食べ心地で、するりと食べきってしまいました。さらに色々食べたいと思い、個人的に謎の料理であった「りうきう丼」を注文!

表面が刺身でみっちりと覆われた、迫力あるビジュアル。食べてみると…なるほど「りうきう」とは、刺身を醤油やゴマなどを合わせたタレで味付けした、いわゆる「漬け」の一種なのですね。これは旨いに決まっている!家で漬けを作る時も、ゴマをたっぷり入れると一味違ったおいしさになりそうです。

「串太」で焼き鳥&モツ鍋

特別展「三国志」を観た後は、宿泊したホテルの近所にある「串太(福岡県福岡市東区箱崎2-12-15 栄ビル1F)」で、焼き鳥やモツ鍋を肴に一杯やりました。

料理はどれも美味でしたが、特にモツ鍋は、澄んであっさりしているのに、なんとも後をひく味わいのスープが絶品!店主の方が「うちのモツ鍋は日本一なんだよ!」と言っておられましたが、そう自認するのも納得できるクオリティでした。

「花山」で豚足&ラーメン

モツ鍋などで腹具合が落ち着いた我々は、もう一杯飲むべく「花山(福岡県福岡市東区箱崎1)」へ。屋台風のつくりの店内は酔客でほぼ満員であり、人気のほどが窺えました。

まず頼んでみた豚足は、表面はバリッと焼けており、内部はネットリと纏わるよう。強い味わいの肴ですので、香り高い芋焼酎とのマッチングが最高です。

豚足以外にもあれこれと飲み食いしましたが、すでに夜も更けたため、名物であるという無添加ラーメンで締めることに。

見た目は濃厚そうに見えますが、食べてみると存外に優しい味わいで、長旅に疲れた身体に染み込んでいくようです。「花山」に限らず、名店といわれるお店で食べられる豚骨ラーメンは、あっさりと食べられるものが多いように思います。

その他も色々食べました

以上の3店以外にも、帰路のサービスエリアでまたしても豚骨ラーメンを食べたり、和牛の元祖にルーツを持つ見蘭牛を使ったハンバーガーを味わったりと、ほぼ常に食欲を爆発させていました。表向きは三国志の旅であったわけですが、其の実には「食い倒れ道中」的な側面も多分にありましたね。

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