この記事では、2019年10月1日(火)~2020年1月5日(日)に九州国立博物館で開催されている、特別展「三国志」の概要とグッズ販売について記しています。
なお、記事中に展示品の写真が多数ありますが、特別展「三国志展」は全展示の撮影及び個人利用が許可されていることを書き添えておきます。自宅でも展示品を細部まで観賞できるため、嬉しい計らいでした。
特別展「三国志」とは
東京と福岡で開催
2019年7月9日から東京国立博物館で開催された特別展「三国志」は、巷でも話題になっており、歴史関係の雑誌ではこの展覧会に合わせて三国志特集が組まれたりもしていました。四国在住の三国志ファンとしては「東京は遠い…でも行きたい…!」と垂涎していたところ、10月からは九州国立博物館で、同じ内容の展示が始まるというではないですか。
これは行くっきゃない!というわけで、2019年10月11日に職場の先輩達と福岡に向けて旅立つことに。 折しもこの日は台風19号が接近し、道中の海路(フェリー)では東南の風が吹き荒れていましたが、なんとか九州国立博物館に到達できました。これまでに何度か来たことはありますが、さすが国立博物館…その規模には毎度驚かされます。デカイ。
語り多く物少なし
およそ1800年前、中国では400年も続いた漢が崩壊し、各地の群雄が栄枯盛衰を繰り広げました。やがて華北では曹操が、巴蜀では劉備が、江東では孫権が勢力を拡大し、 乱世は魏・呉・蜀の三国鼎立に収斂します。「三国志」とは「漢の頽廃から、魏を継いだ晋による再統一までの時代に登場する、様々な人物の生き様を描いた物語」といえましょう。
今日、三国志は小説・漫画・ドラマ・ゲームといった様々なメディアに展開しています。三国志という物語を味わう手段は溢れかえっているというわけですね。一方、三国志に関しては「語り多く物少なし」と言われており、その人気や伝承の多さに比べて当時の文化財が非常に少ないのも一面です。
貴重な文化財
中華人民共和国では、有形文化財を上から一級・二級・三級に区分しています。全国悉皆調査(2016年10月31日時点)に基づけば、一級文物の数は21,911件であり、統計処理できる文物数 64,073,178件のうち、わずか0.3%のみ。日本にあてはめれば「国宝」というニュアンスになるのでしょうか。厳密には趣旨が異なるのでしょうが、イメージはしやすいかも。
それほど貴重な一級文物ですが、特別展「三国志」では、 なんと一級文物を42件も展示しているのです。また、その種類も武器・金属工芸・土器・印章など多岐に渡ります。三国志ファンが楽しめる展覧会なのは言うまでもありませんが、考古学的な見地から見ても、中国の希少な文化財を観賞できる好機といえるでしょう。
充実の三国志グッズ
観賞前の楽しみ
さて、九州国立博物館に入ってエスカレーターを上がると、ついに特別展「三国志」の会場にたどり着きました!博物館の1フロアすべてを用いた大規模な展覧会で、写真のとおり看板もかなり大きい。さぞごった返しているのだろうと思いましたが、予想よりもお客さんが少なく、ゆっくり観賞できそうで安心しました。
展示室前のロビーには、三国志関連のグッズがずらりと並べられており目を引きます。 私も展覧会に行く前に「予算の準備等の都合上、どんなグッズがあるのか事前に知っておきたい」と思って色々と調べましたので、販売されているグッズが概ねどのようなものであったか、以下にご紹介します。
展覧会オリジナルグッズ
特別展「三国志」オリジナルグッズとしては、展覧会の顔である「関羽像」のポリストーン製フィギュアやトートバッグ、NHKで放送された「人形劇 三国志」の一筆箋、多様なポストカードなどが販売されていました。人形劇のビジュアルをじっくり見たのは初めてですが、それぞれの人形に「らしさ」が出ていて魅力的ですね。
ちなみに展覧会の図録に関しては、インターネットで通販もされており、会場まで足を運ばなくとも入手可能です。私も購入しましたが、展示されていた文化財の写真と解説はもちろんのこと、「近年における三国時代考古学の新発見」「曹操高陵の考古発見と研究」「三国時代の身なり・座り方・食事」などと題された、三国志ファンにとっては興味深い解説文も収録されており読み応えは抜群!私は展覧会に行った際には必ずと言っていいほど図録を買うのですが、持っている図録の中でも、今回の図録は白眉のクオリティだと思いますね。
横山光輝『三国志』関連グッズ
横山光輝作の漫画「三国志」は、既に連載終了から30年以上が経過していますが、今なお三国志の入門編として高い人気を博しています。かく言う私も「横山三国志」を読んだことをきっかけに三国志にのめりこんだ1人で、今でも文庫版を全巻所持しています。
同じように「横山三国志」に特別な思いを抱いている三国志ファンの方は多いことと思いますが、そうしたファンの気持ちを汲んでくれたものでしょうか、今回の展覧会でも「横山三国志」関連グッズは特に充実しており、クリアファイル・複製原画・キーホルダー・マグネット等々、バラエティに富んでいました。
全体的に、グッズの題材とする場面のチョイスがよろしく、ファンとしては「わかってるな!」という印象です。例を挙げれば以下のようで、確かに外せない名場面がグッズ化されています。
- 曹操が『俺が天下に背くとも、天下の人間が俺に背くことは許さん』と大言する場面 (文庫版第2巻より「奸雄立つ」)
- 曹操が劉備を相手に英雄の条件を論じる場面 (文庫版第8巻より「英雄論」)
- 死期を悟った諸葛亮が、陣中にて「あの蒼空 極はいずこであろうのう」とつぶやく場面(文庫版第30巻「秋風五丈原」)
- 司馬懿が諸葛亮の木像の出現に動転する場面 (文庫版第30巻より「死せる孔明 生ける仲達を走らす」)
また、写真は撮り忘れましたが、登場人物が「むむむ」と唸るシーンのみをプリントしたマスキングテープなどもあり、結構攻めたコンセプトの商品も見受けられました。
中国からの輸入グッズ
その他にも、中国から輸入した酒盃や木像などの珍しい品々も販売されていました。友人から「陶器製の酒盃(写真に写っているような独特の形状のもの)を買ってきてほしい」と頼まれていましたが、輸入品で基本的に一点物であるためでしょう、私が行ったときには販売されていませんでした。
個人的には「史記」を読んだ方ならご存じであろう「璧(へき)」が販売されていたことに目を引かれました。璧とは玉石を研磨して作られる環状の装飾品で、春秋戦国時代に趙臣:藺相如が秦王の魔手から守り抜いた璧(完璧の語源)等が有名です。気に入ったものが2万円と高価だったため購入しませんでしたが、日本ではなかなか見られない品々を目にすることができました。
さて、今回はここまでとします。次回以降は、グッときた展示品等について語りたいと思います。
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