レスポール・名手伝 – デュアン・オールマン [第1回]

ギブソン・レスポール … 1952年の誕生以来、数多のギタリストに抱かれて名演を生み出してきた、エレクトリックギターの金字塔とも言えるモデル。

今回から、レスポールの使い手として名高いプレイヤーを各回ひとり紹介しながら、このギターの魅力を見つめなおしたいと思います。

第1回は、オールマン・ブラザーズ・バンドでの活躍や、エリック・クラプトンとの共演で有名なデュアン・オールマン (1946.11.20 – 1971.10.29) をご紹介します。

人物・経歴

出生 ~ キャリア初期

デュアン(右)とグレッグ(左)の2ショット

デュアン・オールマンは、1946年11月20日、アメリカのテネシー州ナッシュビルで生まれた。10代はじめ、弟のグレッグ・オールマンが弾いていたギターに興味を持ち、13歳の頃には兄弟でチャック・ベリーの曲などを人前で演奏するようになる。1959年、グレッグと見に行ったロック・ショーで、B・Bキングやオーティス・レディングのパフォーマンスに触れ、感動を覚えたという。

16歳の頃、グレッグとバンド活動を開始。1965年にはローカル・レーベルから「オールマン・ジョイズ」としてデビューを果たすが、成功に至らず解散。1967年には「アワー・グラス」を結成し、ロサンゼルスに移住して2枚のアルバムを制作するが、レコード会社との関係が悪く、またしても解散。

その後、デュアンはブルースやR&Bで有名なアラバマ州マッスルショールズのスタジオ・シーンで、セッション・ギタリストとして活動を始める。この時期、アレサ・フランクリンやウィルソン・ピケットらのレコーディングに参加し、技術に磨きをかけていく。

オールマン・ブラザーズ・バンドの成功

タバコ・サンバーストのレスポールを弾くデュアン

セッション・ギタリストとしての活動に励むさなか、発足まもないキャプリコーン・レコードがデュアンに興味を持ち、契約を持ちかける。

デュアンはグレッグを呼び寄せて「オールマン・ブラザーズ・バンド」を結成する。1969年に第1作『オールマン・ブラザーズ・バンド (The Allman Brothers Band)』、1970年に第2作『アイドルワイルド・サウス (Idlewild South)』を発表し、高い評価を得る。

1970年の中頃~後半、デュアンはデレク・アンド・ドミノスのアルバム『いとしのレイラ』でエリック・クラプトンと共演。「スカイ・ドッグ (※) 」の異名を持つデュアンは、このアルバムでまさに空を駆けるような自在のプレイを披露した。※ウィルソン・ピケットがデュアンの演奏を賞賛して呼称した「Skyman」と、デュアンの風貌によるあだ名「Dog」を掛け合わせたものと伝わる。

そして、1971年にはオールマン・ブラザーズ・バンドの最高傑作であり、ロック史上屈指のライヴ・アルバムである第3作『フィルモア・イースト・ライヴ (At Fillmore East)』をリリース。オールマン・ブラザーズ・バンドは、1970年代の最も影響力あるバンドのひとつとなり、デュアン自身もギタリストとしての評価を確立した。

早すぎる死

ジョージア州にあるデュアンの墓碑

ついに成功を掴んだデュアンであったが、その身を悲劇が襲う。

『フィルモア・イースト・ライヴ』のリリースから数ヶ月後、次作『イート・ア・ピーチ (Eat a Peach)』のレコーディング中であった1971年10月29日、余暇にバイクでツーリングを楽しんでいた際、目の前で急停止したトラックを避けようとして転倒し、そのまま帰らぬ人となってしまった。享年24歳。

残ったメンバーは『イート・ア・ピーチ』の制作を継続し完成させるものの、1年後にはベースのベリー・オークリーもバイク事故で他界した。バンドは2人の遺志を継ぎ、その後も長きにわたり活動を続けたが2014年に活動を停止、デュアンの弟であるグレッグも2017年5月27日に死去している。

代表作・プレイスタイル

The Allman Brothers Band / At Fillmore East

『フィルモア・イースト・ライヴ』(1971)

1971年の3月12日・13日に、ニューヨーク市マンハッタン区のライヴ会場「フィルモア・イースト」で行われたライヴを収録したアルバム。デュアンの真骨頂である、じわじわと聴き手の心に迫り、やがては至高の高みに達するドラマチックなフレージングを堪能できる代表作だ。

オールマン・ブラザーズ・バンドの最高傑作としても知られ、バンド全体が一丸となった迫力あるグルーヴが感じられる。特にデュアンとディッキー・ベッツによるツイン・ギターは素晴らしく、お互いの個性を引き立てるコンビネーションを示しながら、時には激しい火花を散らすスリリングなプレイも楽しめる。

Derek & The Dominos / Layla and Other Assorted Love Songs

『いとしのレイラ』(1970)

デレク&ドミノスは、エリック・クラプトンがデラニー&ボニーに影響され、彼らのバック・バンドから引き抜いたメンバーで結成された。1970年に制作されたアルバム『いとしのレイラ』に、デュアンはほぼ全編(14曲中の11曲)にわたって、リード及びリズム・ギターとして参加する。

『いとしのレイラ』の制作中、デュアンはクラプトンと意気投合し、互いに賞賛しあい、刺激しあった。アルバム制作に先んじた、出会って間もない2人のジャム・セッションは夜を徹して繰り広げられたとも言われる。

クラプトンとのポジティヴな交友の結果でもあろうか、デュアンは本作で水を得た魚のように弾きまくっており、そのパフォーマンスは圧巻の一言。特にタイトル曲「いとしのレイラ」では、スライド・ギターの概念を覆す、激烈かつ優美なフレージングを紡いでいる。

デュアン・オールマンの愛機

デュアンが愛用した3本のレスポール

デュアンはそのキャリアにおいて、複数のギブソン・レスポールを愛用した。彼の歌うようなボトルネック・プレイと、粘っこいフィンガリングには、レスポールの音色が最適であったのだろう。海外の記事等によれば、メイン・ギターとして使用したレスポールは3本あり、概ね以下の遍歴を辿ったものと思われる。

1957年製 レスポール・スタンダード (ゴールド・トップ)

ゴールド・トップはPUカバーが外されている

デュアンが初めて手にしたギターは、ハーレーのパーツと交換したレスポール・ジュニアだったとされるが、そのキャリアを支えた有名なギターを挙げるとすれば、まずはこのゴールド・トップ。

オールマン・ブラザーズ・バンドの初期にメインギターとされ、第1作『オールマン・ブラザーズ・バンド』と第2作『アイドルワイルド・サウス』でも使用した。

また、前述のデレク・アンド・ザ・ドミノスの『いとしのレイラ』のレコーディングでも使用し、ギター自体も「レイラ」という愛称で呼ばれている。

このギターはデュアンが手放してから、三人の持ち主を経た後、2019年にオークションに出品され、125万ドル (約1億3190万円) で落札された。

1958(59)年製 レスポール・スタンダード (チェリー・サンバースト)

チェリー・サンバーストの赤色が強い時期の写真

『いとしのレイラ』のセッションが終わった1970年9月、デュアンはメインギターを1958年のチェリー・サンバーストに変えた。この変更に際しては、これまで愛用のゴールドトップとチェリー・サンバーストのピックアップを取り替えた上で、ギターをトレードしたとも言われる。

このギターは名演『At Fillmore East』で使用されるなど、上述のゴールド・トップと並び、デュアンのキャリアにおいて重要な役割を果たした。同アルバムで聴けるデュアンの音色は「レスポールによる理想のトーン」ともされ、このギター自体が優れたインストゥルメントであることの証左でもある。

なお、後述のタバコ・サンバーストの個体も同様であるが、デュアンが愛用したサンバースト・レスポールに関しては1958年製なのか1959年製かが曖昧であり、資料によっては記載内容に相違が見られる。

1958(59)年製 レスポール・スタンダード (タバコ・サンバースト)

タバコ・サンバーストも現在よりも黒色が強い

デュアンの愛機として最も有名なのが、このタバコ・サンバーストのレスポールだろう。鳥が翼を広げたような杢目 (シーガル・フレイムと呼ばれる) が特徴的で、この美しいギターを携えたデュアンは、まさに「サザン・ロックの雄」といった雰囲気がある。

しかしながら、デュアンがギターディーラーのカート・リンホフからこのギターを購入したのは、1971年6月のこと。同年10月29日にデュアンはバイク事故により死去しているため、デュアンとこのギターの蜜月は半年も続かなかったことになる。

オールマン・ブラザーズ・バンドの楽曲にちなんで「ホット・ランタ」という愛称がつけられ、ボディ・バックにはギターのフレットで「DUANE」と刻まれたこのギターの音色が聴けるのは、使用時期を考えると『イート・ア・ピーチ』収録のデュアン参加曲になるだろうか。

参考資料

・㈱枻出版社 エイムック1211『ザ・ギブソン・レスポール・サウンド』2006年7月20日発行

・㈱枻出版社 『レス・ポール読本』2002年12月20日発行

・”Duane Allman’s Three Beloved Les Pauls Are Reunited Onstage for the Allman Brothers’ Final Stand” https://www.guitarworld.com/magazine/duane-allmans-three-beloved-les-pauls-are-reunited-onstage-allman-brothers

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