身の回りの怖い話 [その2]

今回も私の知り合いから聞いた怖い体験談をご紹介します。

海辺の公園

私の友人であるA君が体験した出来事です。

当時小学生だったA君は、学校が終わると、近くの公園で友人たちと遊んで帰るのが日課でした。海沿いにあるその公園は、遊具等が豊富ではありませんが広々としていて、吹きぬける潮風もここちよく、彼のお気に入りの場所だったそうです。

ある日、A君は学校帰りに複数の友人と連れ立って、その公園に向かいました。季節は秋を過ぎて冬に近い時期であったため、日が暮れるのも早くなっており、A君たちが公園に到着した頃には既に夕陽が海を染めていました。

学校から走ってきた疲れもあり、少しの間、A君と友人達は岸と海の境にある鉄柵にもたれて海を眺めていましたが、刻々と沈む夕陽を見て「暗くなったら、今日はもう遊べない!」と焦り、残された時間を満喫することにしました。

とはいえ、暗くなり始めた公園の中ではできる遊びも限られています。「鬼ごっこ」をするには視界が悪くて転びそうですし、「かくれんぼ」をして誰かを見つけられなかったら大変です。皆があまり分散せず、走り回ったりしない遊びを…ということで「だるまさんがころんだ」をすることにしました。

「鬼」になった人が振り返ったときに、他の人は身動きひとつせずに息を潜める…「だるまさんがころんだ」は意外に静かな遊びです。それでも、うっかり動いてしまう友人やおどけて見せる友人もいたこともあって、彼らは皆でケラケラと笑いながら遊び続けていたそうです。

その最中、つい体を動かしてしまったA君は「鬼」をすることになりました。友人たちに背を向けて目を塞ぎ、「だるまさんがころんだ」と言って振り返ると、友人たちは様々な姿勢で静止しています。同じことを繰り返すうちに、少しずつA君に近づいてくる友人たち。しかし、A君にはそれよりも気になることがあったのです。

A君が2,3回目に振り返ったときだったでしょうか、動きを止めた友人たちのずっと向こう側、海と岸を仕切る鉄柵のあたりに黒い靄のようなものが見えたそうです。はじめ、その靄は鉄柵の錆汚れのように見えました。しかし、何度か「だるまさんがころんだ」と言って振り返るうちに、その黒い靄の様子がどんどん変わってきたのです。

気づいた直後は鉄柵の上部の汚れに見えた黒い靄ですが、振り返ったときには鉄柵の上から下へ垂れ下がるようになっていました。次に振り返ったときには、地面に落ち、こちらへ這いずっているように見えました。さらに振り返ると、地面の黒い靄が盛り上がり、まるで人の頭の形になっていたのです。

A君は振り返るのが怖くなり、目を塞いだまましばらく黙っていました。すると、友人たちが「A、どうしたんだ」「早く続けてよ」と催促してきます。なかば自棄になったA君は、この遊びを早く終わらせたいという思いもあって、「だるまさんがころんだ!」と大きな声で叫んで振り返りました。

夕陽で真っ赤に染まった公園。思い思いの姿勢で動きを止め、A君を見つめる友人たち。そのすぐ後ろに、完全に人の形になった黒い靄が、A君と友人たちに向けて両手を伸ばしていたのです。

A君は悲鳴を上げながら逃げ出し、驚いた友人たちもその後を追ってきました。公園からだいぶ離れて、ようやく落ち着いたA君はさきほど見たものについて話しましたが、友人たちは「どうせ見間違いだろう」「Aって意外と怖がりなんだな」と信じてくれませんでした。

それからも、友人たちはその公園で遊び続けていましたが、A君はどうしても気が進まず、学校の行き帰りもその公園を避けるようになったそうです。

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