身のまわりの怖い話 [その1]

怖い話って引き込まれるよね

昔から怖い話が大好きで、ここ数年は稲川御大が語る怪談を聴きながら眠るのを習慣としています。

私には幽霊と鉢合わせしたような経験はありませんが、周囲に「怖い経験したことある?」と尋ねてみると、意外と出てくるものですね。

そうして聴かせてもらえる怖い話は、いわゆる「実話怪談」というジャンルで、幽霊や化け物が大立ち回りするホラー映画のような派手さはありません。

しかし、身近な人が恐怖体験をしているのは非常に興味深いですし、自分の日常のすぐそばに霊の存在があるような、不思議な趣きを感じさせられます。

個人的な備忘録とご紹介を兼ねて、今回からいくつか記していきたい思います。

カタカタ

ひとつめは、私が高校生の頃に体験したお話です。

部活動を終えて家に帰った私は、夕食をとった後、自室で本を読んでいました。

しばらくすると眠気が強くなってきたため「眠る前に風呂に入っておかなければ」と思い、浴室に向かいました。

浴室のドアをガラリと開けると、浴槽には湯が張られ、ほのかに湯気が上がっています。

身体を静かに湯に沈め、オレンジに光る天井灯を眺めていると、このうえなくくつろいだ気分に。

疲れた身体を解きほぐすような温かさ。入浴剤の香りもリラックス効果を高めてくれます。

そんなことを考えているときでした。かすかな異音が、私の耳に飛び込んできたのです。

はじめは本当に小さな音で「風で窓枠が揺れているのかな」と思いました。

しかし、その音は徐々に大きくなり、数十秒が経った頃でしょうか、私も原因に気づいたのです。

その音は浴室内の洗い場から聴こえていました。

洗い場に逆さに伏せられた洗面器が「カタカタ…」と音を立てながら震えているのです。

私は湯舟に浸かったままで「地震かな…しばらくすれば収まるだろう」と思いながら洗面器を眺めていました。

しかし、しばらく経っても洗面器は「カタカタ…」と鳴りながら震え続けています。

こうまで長く続くと、たかが洗面器が振動しているだけとはいえ、少し不気味に感じられてきます。

それに、ドアに掛かったボディタオルも、何本か並んでいるシャンプー類も微動だにしていません。

「なぜ、洗面器だけが…これは少しおかしいぞ」と思ったその時、洗面器が「ガタガタガタガタ!」とけたたましい音を立てて激しく震え出したので、私は意を決して浴槽から飛び出し、伏せられていた洗面器をひっくり返しました。

不思議なことに、洗面器には変哲もなく、内側にも何も入っていませんでした。

また、ふたたび伏せて置いてみても、先ほどまでのように音を発することはありませんでした。

さほどの恐怖を覚えたわけではありませんが、なんとなく気味が悪く、しばらくは風呂に入る際に嫌な気分になったものです。

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