ガンダムシリーズの名曲(インスト編 / その1)

アニメソングの魅力・特性

ロックやポップの楽曲とアニメソングの最も大きな違いは「物語性」だと考えます。

ロックやポップの楽曲でも、制作者が物語を創作し、その内容を歌詞やメロディに反映させる手法はとられます。しかし、そのような手法における物語は、ほとんどの場合において短く簡潔なものです。たとえば「男女が出会い、愛し合い、すれ違い、別れる」といった程度でしょう。※コンセプト・アルバムなどの特殊なアプローチを除く。

『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』より

対して、アニメソングにおける物語は、 ロックやポップのそれよりも複雑で長大です。言うまでもなく、アニメソングの母体であるアニメは、長いものでは数十話にも及ぶ巨大な物語。その話中におけるシーンや登場人物の心情を踏まえて制作される楽曲は、ドラマティックになるのは必然です。

オペラやミュージカルも音楽と物語を一体とするエンターテイメントですから、クラシックに近い手法で制作されていると言えるかもしれません。 この点については、映画やドラマのサウンドトラックも同様です。ただし、アニメには非日常・非現実がかなり含まれていることもあり、物語もより劇的になりがちです。それに伴い、音楽もより起伏に富んだものとなり、そこがアニメソングの大きな魅力となるわけですね。

『機動戦士ガンダム』より

さて、アニメにおける非日常・非現実の要素は数多ありますが、例として「未来」「宇宙」「ハイテクノロジー」といった要素を挙げることもできるでしょう。これらの要素を含む有名なアニメが『機動戦士ガンダム』に端を発するガンダムシリーズです。今回はいつもと趣向を変えて、ガンダムシリーズのサウンドトラックから、私が愛してやまない楽曲をご紹介したいと思います。

イチオシ楽曲:AURORA (オーロラ)

Char's Counterattack 逆襲のシャア BGM Aurora (オーロラ)

1988年公開の映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』は、ガンダムシリーズで最も有名な人物であるアムロ・レイとシャア・アズナブルの最終決戦を描いた作品です。

<あらすじ>
連邦政府とジオン公国が繰り広げた一年戦争以来、アムロとシャアは数奇な運命に翻弄されながら、好敵手として、ときには味方として戦い続けてきた。そして、一年戦争から14年後、ネオ・ジオンの総帥となったシャアは、惑星を地球に落下させることで地球を居住不可能な星とするための作戦を展開する。そして、その暴挙を阻止すべく奮闘する地球連邦軍のエースパイロット:アムロと再び対峙するのだった。

<解説と魅力>
作品の終盤で、シャアは惑星アクシズを地球に向けて降下させ、アムロは地球の引力に引かれ始めたアクシズをニューガンダムの全出力を用いて軌道変更しようとします。連邦軍とネオ・ジオン軍の機体が次々とアムロの援護に駆けつけますが、状況を変えるには至りません。そんなとき、ニューガンダムのサイコフレームがオーバロードを起こし、アクシズを虹色の輝きで包みます。すると、不思議なことにアクシズは軌道を変更し、地球から離れていくのでした。このラストシーンで静かに流れ出すのが「AURORA (オーロラ)」です。

『逆襲のシャア』のエンディングはTM NETWORKが歌う「BEYOND THE TIME (メビウスの宇宙を超えて)」ですが、あちらは歌詞・メロディともに物語との関わりはあまり強くありません。そういう観点から、この「AURORA」を『逆襲のシャア』の真のエンディングと見ることもできるでしょう。ゆったりと重々しく、それでいて繊細で悲愴な旋律は、激戦の果てに消息不明となったアムロとシャア、2人の英雄の宿命の哀しさを伝えているかのようです。

アムロが駆るニューガンダムとシャアが操るサザビーは死闘を繰り広げた

また、サウンドトラックではよく見られる手法ですが、「AURORA」で用いられたメロディはこの曲が初出ではありません。同じく『逆襲のシャア』の「MAIN TITLE (メイン・タイトル)」で、共通のメロディが用いられています。こちらは「AURORA」に比べて華やかで勇壮な印象ですが、映画の序盤で流れる「MAIN TITLE」で印象付けられたメロディが、終盤の「AURORA」で再現されると、観客は「この曲、聴いたことある!」「アレンジが物語に寄り添うように変化していて泣ける!」といった具合に、耳と心を鷲掴みにされてしまうわけですね。

BGM 機動戦士ガンダム逆襲のシャア MAIN TITLE

『逆襲のシャア』のサウンドトラックに関しては、上述の「AURORA」や「MAIN TITLE」に加え、最新鋭の機体の強力さと所詮は武器であることの悲しさを巧みに表現しているような「v GUNDAM (ニュー・ガンダム)」、「AURORA」や「MAIN TITLE」で用いられたメロディを、よりアグレッシヴにアレンジした「SALLY (出撃)」など、優れた楽曲が目白押しです。

さて、今回はここまでとします。次回は『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』『機動武闘伝Gガンダム』からの名曲をご紹介したいと思います。

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