Gammma Ray – Heading for Tomorrow (アルバム紹介)

今回ご紹介するのはジャーマンメタルの代表的バンド、Gamma Rayが1990年に発表したデビューアルバム”Heading for Tomorrow”です。

参加アーティスト

ラルフ・シーパース / Ralf Scheepers (Vocal)
カイ・ハンセン / Kai Michael Hansen (Guitar)
ウヴェ・ラッセル / Uwe Wessel (Bass)
マティアス・ブルヒャルト / Mathias Burchardt (Drums)

どんなアルバム?

“Gamma Rayのデビューアルバム”とは書きましたが、上記のアーティストは新人ではありません。リーダーであるKai HansenはGamma Rayと同じくジャーマンメタルの代表的バンドであるHelloweenのリーダーでしたし、ボーカルのRalf ScheepersはTyran Paceという実力あるバンドで活躍していました。

個人的な意見ですが、Kai Hansenが作る力強くメロディックな楽曲は非凡な力量を持ったシンガーを要求し、驚異的な声域を持つRalf Scheepersにはその歌唱力を生かせる優れた楽曲が必要だったのではないでしょうか。そして、この2者がマッチングすることにより、このGamma Ray初期の大傑作が生まれたのでしょう。

聴きどころ!

このアルバムの第一の聴きどころは、上述のとおり、Kai Hansenが作る美しい楽曲をRalf Scheepersが気持ち良く歌いこなす点にあると思います。

1.”Lust for Life” からこの魅力は存分に発揮されていますが、アルバム序盤で白眉なのは 2.”Heaven Can Wait”です。曲中でRalf Scheepersは何度も披露するロングトーンがなんとも爽快。ビブラートも美しく、ダイナミクスも素晴らしく、この時代のRalf Scheepersは理想的な発声をしている印象を受けます。Youtubeでライブ動画を見てみると、スタジオ版の演奏とほぼ相違がなく、恐れ入るばかりです。

Ralf Scheepersの驚異の歌唱力をさらに感じることができるのが 6.”The Silence” です。美しいギターのイントロに、絶妙なミックスボイスでの歌唱が続きます。この頃のRalf Scheepersの歌唱は硬軟も高低も緩急も自由自在です。※Ralf Scheepersは現在もPrimal Fearで強烈なシャウトを響かせていますが、だいぶ声が固くなっています。

また、キャリアを積むにつれハイトーンを誇るようなパフォーマンスが多くなっていきますが、このアルバムでは自分の声の全てを楽曲の完成度を高めるために使っている印象を受けます。”The Silence” は途中で何度も曲調が変わる曲ですが、Ralf Scheepersは幅広い声域・多彩な声色を用いて、この楽曲の壮大な世界感を描き上げています。

他にも、軽快なポップロックナンバー 8.”Freetime” あり、14分30秒にも及ぶ大作 9.”Heading for Tomorrow” ありと、魅力的な楽曲がぎっちり詰まったアルバムです。「優れたソングライターとパフォーマーが出会うと、かくも素晴らしい音楽活動ができるのか」と、感慨深いものがあります。

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